拝啓
薫風爽やかな季節を迎え、皆様いかがおすごしでしょうか。
コロナの勢いは未だ収まらず、自粛生活が求められる中、ゴールデンウィークに入りました。
先行きも見えず、外出も控えるしかない今日この頃です。
明日、5月2日は何の日?調べてみると、「婚活の日」というのがありました。
「5と2の語呂合わせ」ということなのですが、ソーシャルディスタンスや濃厚接触の禁止、外出の自粛など男女の出会いにも障害が増えた今、ふと男女の「婚活」の歴史に思いを馳せて見ました。
洋の東西を問わず、大体、男性が女性にプロポーズするのが一般的なようです。
「プロポーズ」の語源は、ラテン語の”前に置く”ということなのですが、彼女の前に自分の身を差し出すこと、「彼女の前に自分の愛を差し出す」ということですかね。
”プロポーズ”の歴史は古く、古代ローマまで遡ります。
婚約指輪を贈る習慣もこの頃にはもうあり、左手の薬指に鉄製の指輪をはめることが習慣としてありました。
左手は心臓に近く、左手の薬指は心臓と直接繋がっていると信じられていたからだそうです。
それよりも古い、古代ギリシャにも婚約指輪を贈る習慣はありましたが、意味が少し違います。婚約の成立と同時に、夫の家は妻の家にお金を支払います。その証として、夫は、妻の父親に指輪を送ったのだそうです。当時の指輪は、”愛の証”でも無く、妻に送るものでも無かった。結婚とは、一種の人身売買の取引といったようなものでした。
日本で婚約指輪の風習が伝わったのは、明治時代と言われれています。
日本では、男性から女性へ求愛する行為は、古墳時代からと言われています。しかし、直接的なものではなく、好きな異性の家の前で相手の名前を呼んだり、気持ちを詩にして詠んだりしていたそうで、この行為を「ヨバヒ」とよんでいました。厳密な結婚制度はなく集団婚が一般的で、恋愛はおおらかなものだったそうです。
平安時代になると、貴族が和歌を詠んで送り合うなどの風習か一般的になりますが、戦国時代へ進むと、権力の拡大と維持のため、恋愛を経ない家と家による政略結婚が当たり前となります。
江戸時代になると、江戸の庶民の間で歌や手紙を送りあってプロポーズするスタイルが広がりました。自在に恋文を書くために、”HOW TO本”まであったそうです。す。 当時の人々の識字率が高かったことを意味します。また、男性には女性に”櫛”を贈る習慣があり、これは、所帯を持つことが「苦しくて、しんどい」ものだから、”苦労”の「く」、”しんどい”の「し」からきているのだそうです。
「共に所帯を持ち苦しみ、死ぬまで共に添い遂げる」ということです。
離婚の時は、妻がこの櫛を夫に投げつけ追い出すのだそうです。
追い出された夫は、その櫛を質に入れて、宿を借りて雨風をしのいだそうです。
現実はいつも女性の方が強い。
どんな時代であっても一生を共にしたいという気持ちを恋人に伝えたいのは同じこと、人の根本的な気持ちは変わりません。
「人類は、太古の昔から帰りが遅いと心配してくれる人を必要としている」 マーガレット・ミール
昔に比べれば便利すぎる現在、コロナ禍で不自由な生活を強いられる中、いにしえの逢瀬を楽しむ恋人たちの恋心を模索するのも楽しいかもしれません。
梅雨の走りのように気まぐれな空の下、皆様どうぞお気を付けてください。
敬具 天野雄太