アート・オブ・ライフ〜今日のカード

拝啓 立夏の候 早くも走り梅雨を思わせる天気の中、恵の雨をうけ、皆様におかれましては、より一層ご清栄のことと存じます。

今日、小雨の降る中、自宅でタロットカード(アート・オブ・ライフ)に向き合い、カードを引いてみました。

大アルカナ No.Ⅲ 女帝

愛と豊かさの象徴です。

絵は、ルネッサンス期の巨匠ラファエロ「アレキサンドリアの聖カタリナ」

箴言は、18世紀に百科事典を編纂したフランスの啓蒙思想家ドゥニ・ディドロ

Only passions, great passions, can elevate the soul to great things.

「情熱だけが、偉大な情熱だけが魂を偉大なものに昇華させる」です。

聖カタリナは4世紀にアレクサンドリアに生まれた学識豊かな王女であり、夢の中でキリストと婚約したと伝説にあります。

彼女はキリスト教を弾圧するローマ皇帝マクセンティウスを非難し、皇帝が招聘した学者達を悉く論破して収監されますが、そこで周囲の人達をキリスト教へと改宗させたことなどから、さらに皇帝の怒りを買うことになり、死刑を言い渡されます。

釘が打ち付けられた車輪に繋がれ拷問を受けながら殺される刑罰が科せられましたが、なんと車輪が雷に打たれ破壊されるアクシデントが起こり、急遽、断首され処刑されました。

静かな田園風景の中に聖カタリナは描かれています。

車輪(突起のある車輪は聖カタリナが拷問を受けたことを表すアトリビュート)に寄りかかるようにしなやかにして立ち、体の向きをしなやかに変え上空の雲の切れ目にを向けて法悦の表情を浮かべている。

そこは黄金色に輝き、天国の神聖な光が、雲間から溢れ出ています。

この天上へ向けられた目線が、見る者の視線を天上へと導いてゆく。

彼女の近くにはタンポポなどの野草が生えています。(タンポポはキリストの受難を象徴する植物)

不幸な殉教者というよりも平和的で、恋する乙女としての聖女を感じさせてくれる。

聖カタリナは哲学者と伝道者の守り神として崇められ、ジャンヌ・ダルクも彼女の声を聞いたと言います。

何者にも勝る愛の強さ、情熱の勝利というものが強く感じ取れるカードです。

どんな困難も、私たちが諦めない限り私達から愛と情熱を奪い取ることはできません。

現在、コロナウイルスが世界に与えた影響は、物質世界の限界と人間の傲慢さの崩壊を示しています。

コロナ後の社会も、もう昔には後戻りできないことが予想されます。

人間にとって都合のいい効率だけを求めた社会から、持続可能な環境と新たな豊かさ、そして高次元な精神世界への転換期を迎えていることを予見させてくれます。

本格的な梅雨を間近に控え、どうか体調を崩さないようお元気でお過ごしください。

敬具